雇用保険料率とは
雇用保険料率とは、賃金総額に対して雇用保険料を算定するための率です。雇用保険は労働者の生活および雇用の安定を図ることを目的とした制度で、その財源は事業主と労働者が拠出する保険料および国庫負担によって賄われています。雇用保険料率は雇用保険法および労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)に基づき、雇用情勢や財政状況を踏まえて毎年度見直されます。
料率は年度ごとに改定されるため、給与計算実務では毎年4月の改定情報を必ず確認する必要があります。
雇用保険料率の構成
雇用保険料率は、大きく分けて次の2つの部分から構成されています。
- 失業等給付・育児休業給付の保険料率:失業手当(基本手当)や育児休業給付などの財源となる部分で、事業主と労働者が折半で負担します。
- 雇用保険二事業の保険料率:雇用安定事業・能力開発事業(雇用調整助成金やキャリアアップ助成金などの財源)に充てられる部分で、事業主のみが負担します。
つまり、労働者が負担するのは「失業等給付・育児休業給付」の料率部分のみであり、二事業分は全額事業主負担となる点が重要です。
業種別の3区分
雇用保険料率は、事業の性質に応じて次の3つの区分が設けられています。失業のリスクや雇用の安定度が業種によって異なるため、料率に差が設けられています。
- 一般の事業:下記2区分以外のすべての事業
- 農林水産・清酒製造の事業:季節的に雇用される労働者が多い業種
- 建設の事業:失業の発生率が比較的高く、二事業料率も高めに設定
令和7年度(2025年度)の雇用保険料率
令和7年4月1日から令和8年3月31日までの料率は以下のとおりです(厚生労働省公表)。
- 一般の事業:労働者負担 5.5/1,000、事業主負担 9.0/1,000、合計 14.5/1,000(1.45%)
- 農林水産・清酒製造の事業:労働者負担 6.5/1,000、事業主負担 10.0/1,000、合計 16.5/1,000(1.65%)
- 建設の事業:労働者負担 6.5/1,000、事業主負担 11.0/1,000、合計 17.5/1,000(1.75%)
令和6年度(2024年度)は一般の事業の合計が15.5/1,000(1.55%)でしたが、令和7年度は失業等給付の料率が労使それぞれ0.05%ずつ引き下げられ、合計14.5/1,000(1.45%)となりました。これは雇用保険財政の改善を背景とした引き下げです。
保険料の計算方法
雇用保険料は、賃金総額 × 雇用保険料率で算定します。ここでいう賃金総額には、基本給のほか残業手当・通勤手当・賞与など、労働の対償として支払われるものが原則として含まれます。健康保険・厚生年金のような標準報酬月額の概念はなく、実際に支払った賃金額に直接料率を乗じる点が特徴です。
計算例(一般の事業・月給30万円の場合)
- 労働者負担分:300,000円 × 5.5/1,000 = 1,650円
- 事業主負担分:300,000円 × 9.0/1,000 = 2,700円
- 合計:4,350円
労働者負担分は毎月の給与から控除し、事業主負担分と合わせて労働保険料として年度ごとに納付(年度更新)します。
実務上の注意点
- 料率は年度ごとに改定されるため、4月支給分(または賃金締切日基準)から新料率を適用する
- 労働者負担分の端数処理は、被保険者負担分の50銭以下切り捨て・50銭超切り上げが原則(労使の慣習による取扱いも可)
- 賃金総額に含まれるもの・含まれないものの判定を誤ると保険料額に差異が生じる
- 建設の事業は二事業料率が高く設定されている点に留意する
まとめ
雇用保険料率は、労使折半の給付部分と事業主のみが負担する二事業部分から構成され、業種によって3区分に分かれています。令和7年度は一般の事業で合計14.5/1,000へと引き下げられました。料率は毎年度改定される可能性があるため、最新の厚生労働省公表値を確認したうえで給与計算に反映することが重要です。
当法人では、毎年度の料率改定を踏まえた給与計算や、労働保険の年度更新手続きまで一貫して対応いたします。お気軽にご相談ください。