労使協定とは
労使協定とは、使用者と労働者の過半数で組織する労働組合(無い場合は労働者の過半数を代表する者)との間で、書面により締結する取り決めをいいます。労働基準法は労働条件の最低基準を定めていますが、特定の事項については労使協定を締結することで、本来禁止される行為が「免罰」されたり、例外的な労働時間制度の運用が可能になったりします。
労使協定の中には所轄労働基準監督署への届出が義務付けられているものと、社内保管のみで足りるものがあり、種類ごとに整理して管理することが重要です。
過半数代表者の選出要件
- 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
- 労使協定の締結を行う者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の民主的な方法により選出されていること
- 使用者の意向に基づき選出された者でないこと(労働基準法施行規則第6条の2)
- 事業場に使用されるすべての労働者(パート・アルバイト・出向者等を含む)の過半数を代表していること
主要な労使協定10種類
1. 時間外・休日労働に関する協定(36協定)
労働基準法第36条に基づき、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や法定休日労働を行わせる場合に必要です。労基署への届出が必須で、未届出の場合は時間外労働そのものが違法となります。
2. 賃金控除に関する協定(24協定)
労働基準法第24条第1項の賃金全額払いの原則の例外として、社宅費・親睦会費・財形貯蓄等を給与から控除する場合に締結します。届出は不要ですが、社内保管が必要です。
3. 1ヶ月単位の変形労働時間制
労働基準法第32条の2に基づき、1ヶ月以内の期間を平均して週40時間以内に収まるように労働時間を配分する制度です。労使協定または就業規則で定め、労使協定で定めた場合は届出が必要です。
4. フレックスタイム制
労働基準法第32条の3に基づき、清算期間内の総労働時間を定め、労働者が始業・終業時刻を決定できる制度です。清算期間が1ヶ月を超える場合は届出が必要、1ヶ月以内は届出不要ですが、いずれも就業規則の定めも必要です。
5. 1年単位の変形労働時間制
労働基準法第32条の4に基づき、1ヶ月超1年以内の期間を平均して週40時間以内とする制度です。対象期間や労働日、各日の労働時間等を労使協定で定め、労基署への届出が必須です。
6. 1週間単位の非定型的変形労働時間制
労働基準法第32条の5に基づき、常時使用する労働者数が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店に限り認められる制度で、労基署への届出が必要です。
7. 一斉休憩の適用除外
労働基準法第34条第2項の一斉休憩の原則を除外し、労働者ごとに異なる時間帯に休憩を付与する場合に必要です。届出は不要です(運輸交通業・商業等は労基法上当然に適用除外)。
8. 事業場外みなし労働時間制
労働基準法第38条の2に基づき、事業場外で労働し労働時間の算定が困難な場合に「所定労働時間労働したものとみなす」制度です。みなし時間が法定労働時間を超える場合に労使協定の締結と届出が必要です。
9. 専門業務型裁量労働制
労働基準法第38条の3に基づき、研究開発・情報処理システムの分析設計・新聞記者など厚生労働省令で定める19業務に限り適用できる制度です。労使協定の締結と労基署への届出が必須で、本人同意の取得も要件となっています。
10. 企画業務型裁量労働制および計画年休
労働基準法第38条の4の企画業務型裁量労働制は、労使委員会の決議と労基署への届出が必要です。労働基準法第39条第6項の計画年休(年次有給休暇の計画的付与)は、年休のうち5日を超える部分について労使協定で計画的付与の対象とでき、届出は不要です。
労使協定の保存義務
- 労働基準法第109条により、労使協定書は5年間(当分の間は3年間)の保存義務
- 協定の有効期間は協定で自由に定められるが、1年程度を目安とすることが一般的
- 過半数代表者の選出経緯(投票結果等)も記録として残す
まとめ
労使協定は、適切な手続を欠くと協定そのものが無効となり、時間外労働や控除が違法となるリスクがあります。特に過半数代表者の選出方法は、形式的な選任にとどまらず、労働基準法施行規則第6条の2に沿った民主的な手続が求められます。
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