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退職金制度の設計と税務|中小企業の導入ガイド

退職金制度の意義

退職金制度は、長年勤続した従業員への功労報償としての性格と、退職後の生活保障としての性格を併せ持つ重要な人事制度です。法律上の支給義務はありませんが、就業規則または退職金規程に定めた場合は労働基準法第89条第3号の2に基づき賃金として取り扱われ、定めた基準に従って支払う義務が生じます。

採用競争力や離職防止の観点からも、自社に合った退職金制度を設計することは、中小企業経営の重要なテーマです。

主な退職金制度の種類

  • 退職一時金制度:退職時に一括支給。社内積立または外部積立
  • 確定給付企業年金(DB):将来の給付額を約束する企業年金
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC):拠出額を確定し、運用結果で給付額が決まる
  • 中小企業退職金共済(中退共):独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する国の退職金制度

退職金の税制優遇

退職所得控除額の計算

退職金は所得税法上「退職所得」として扱われ、勤続年数に応じた退職所得控除が認められています。

勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます。

課税対象額の計算

退職所得は、他の所得と分離して課税され、さらに以下の式により課税対象額が計算されます。

※勤続年数5年以下の役員等の退職金(特定役員退職手当等)および、勤続年数5年以下で退職所得控除額を超える300万円超部分(短期退職手当等)には1/2課税が適用されません。

中小企業退職金共済(中退共)

中退共は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、中小企業向けの国の退職金制度です。単独で退職金制度を持つことが難しい中小企業を支援するため、税制優遇や国の助成が設けられています。

制度の特徴

退職金額の決まり方

退職金額は、掛金月額と納付月数によって算出される「基本退職金」(予定運用利回り年1.0%で設計)に、運用収入の状況等に応じて支給される「付加退職金」を加えた金額となります。

退職金規程に必要な記載事項

  • 適用される労働者の範囲
  • 退職金の決定方法・計算方法(勤続年数別支給率、ポイント制等)
  • 支払の方法(一時金・年金・併用)
  • 支払の時期
  • 不支給事由・減額事由(懲戒解雇時の取扱い等)
  • 自己都合・会社都合による支給率の違い

制度設計のポイント

中小企業が退職金制度を導入する際は、財務状況・人員構成・採用戦略を踏まえ、以下の観点から検討することが重要です。

まとめ

退職金制度は一度導入すると変更が難しく、不利益変更には合理的理由と手続が必要となります。中退共をはじめとする外部積立制度を活用することで、税制優遇を受けながら計画的に積立を進めることが可能です。

当法人では、退職金規程の整備、中退共・企業型DC等の導入支援、既存制度の見直しまで幅広く対応いたします。お気軽にご相談ください。

AUTHOR / 執筆・監修

社会保険労務士法人みらい

東京都社会保険労務士会 武蔵野支部所属。西東京市ひばりが丘を拠点に、労働・社会保険手続き、就業規則作成、給与計算、助成金申請、労務コンサルティングをワンストップで提供。みらいグループ(税理士法人みらいを中核とする専門家集団)と連携し、中小企業の人事労務をトータルサポートしています。

本記事は2026-05-05時点の法令・通達・施行規則に基づき作成しています。最新情報は厚生労働省、日本年金機構、ハローワーク等の公表資料をご確認ください。

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