法定休暇と法定外(特別)休暇の違い
休暇には、法律で付与が義務づけられた「法定休暇」と、企業が任意で設ける「法定外休暇(特別休暇)」があります。年次有給休暇、育児・介護休業、生理休暇などは法定休暇にあたり、要件を満たせば必ず付与しなければなりません。
一方、慶弔休暇や夏季休暇といった特別休暇は、法律上の義務がなく、各企業が福利厚生として自由に設計できる休暇です。義務ではないからこそ、自社の実情や従業員のニーズに合わせて、働きやすい職場づくりの一環として整備する価値があります。
代表的な特別休暇の例
- 慶弔休暇:本人の結婚、家族の出産、近親者の死亡(忌引)などの際に取得
- 夏季休暇・年末年始休暇:お盆や年末年始に付与する休暇
- 病気休暇:私傷病による通院・療養のための休暇
- ボランティア休暇:社会貢献活動への参加を支援する休暇
- 裁判員休暇:裁判員等として職務に従事する際の休暇
慶弔休暇の日数相場
慶弔休暇は、本人や家族との続柄(親等)に応じて日数を定めるのが一般的です。法律上の基準はないため、あくまで実務上の相場ですが、以下が目安となります。
- 慶事:本人の結婚は3〜5日程度
- 弔事:配偶者の死亡は7〜10日、父母・子の死亡は5〜7日、兄弟姉妹・祖父母・孫の死亡は2〜3日程度
対象範囲は「三親等以内の親族または本人」とするのが一般的です。続柄ごとに日数を明記し、誰の慶事・弔事かが一目でわかるように規定しておくと、運用での迷いがなくなります。
夏季・年末年始休暇、病気休暇など
夏季休暇や年末年始休暇は、所定休日とは別に付与するのか、休日に振り替えるのかで取扱いが変わります。給与計算や勤怠管理に影響するため、付与日数と取得方法を明確にしておきます。
病気休暇は、年次有給休暇を使い切った後の私傷病に対応する制度として、近年導入が進んでいます。時間単位や半日単位での取得を認めると、通院しながら働く従業員を支えやすくなります。裁判員休暇は、裁判員制度への参加を促すために設ける企業が増えています。
有給/無給の選択
特別休暇は法定外であるため、有給とするか無給とするかも企業が自由に決められます。慶弔休暇は有給とする企業が多い一方、病気休暇やボランティア休暇は無給とする例もあります。
- 有給とする場合は、対象となる休暇の種類を明確にする
- 無給とする場合も、その旨を就業規則に明記しておく
- 有給・無給の別が曖昧だと、賃金トラブルの原因になる
就業規則への記載は必須(相対的必要記載事項)
- 特別休暇は、労働基準法第89条の「相対的必要記載事項」に該当する
- 制度を設ける場合は、休暇の種類・取得条件・日数・有給/無給の別などを就業規則に必ず記載しなければならない
- 制度を設けること自体は任意だが、設けるなら規程化が義務となる点に注意
特別休暇導入と働きやすい職場づくり
特別休暇の整備は、従業員の満足度や定着率の向上に直結します。さらに、時間単位の年次有給休暇制度の導入や特別休暇の新設などに取り組む中小企業に対しては、国の助成金(働き方改革推進支援助成金など)が活用できる場合があります。助成金の要件や内容は年度ごとに見直されるため、導入を検討する際は最新の公募要領を確認することが大切です。
制度を「作って終わり」にせず、従業員に周知し、実際に取得しやすい雰囲気をつくることが、働きやすい職場づくりにつながります。
まとめ
特別休暇は法定外の制度だからこそ、自社の価値観や人材戦略を反映できる余地があります。慶弔休暇の日数設定、有給・無給の別、就業規則への記載といった論点を整理し、運用しやすい形で規程化しておくことが重要です。
当法人では、特別休暇規程の設計から就業規則への落とし込み、関連する助成金の活用提案まで一貫して対応いたします。お気軽にご相談ください。