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賃上げ促進税制|中小企業向け税額控除の活用

賃上げ促進税制の概要

賃上げ促進税制は、青色申告書を提出する事業者が、前事業年度より給与等の支給額を増加させた場合に、その増加額の一定割合を法人税(個人事業主の場合は所得税)から税額控除できる制度です。租税特別措置法第42条の12の5等に規定されています。令和6年度税制改正で大幅に改組され、2024年4月1日以後に開始する事業年度から新制度が適用されています(適用期限:2027年3月31日までに開始する各事業年度)。

中小企業向けには、控除率の上限が最大45%に拡大されたこと、控除しきれなかった金額の5年間繰越控除が新設されたことが大きな改正点です。

中小企業向け賃上げ促進税制(基本)

  • 適用対象:中小企業者等(資本金1億円以下等の要件を満たす青色申告法人・個人事業主)
  • 必須要件:雇用者給与等支給額が前事業年度比1.5%以上増加
  • 基本控除率:給与等支給増加額の15%を法人税額から控除
  • 2.5%以上増加の場合:控除率30%(基本15% + 上乗せ15%)

上乗せ要件で最大45%

基本の賃上げ要件に加え、以下の上乗せ要件を満たすことで控除率がさらに加算されます。

上乗せ要件①:教育訓練費

教育訓練費が前事業年度比5%以上増加し、かつ教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合、中小企業は控除率に+10%が加算されます。

上乗せ要件②:子育てサポート・女性活躍推進

事業年度終了時点で、以下のいずれかの認定を受けている場合、控除率に+5%が加算されます。

合計で最大45%

賃上げ2.5%以上達成(30%)+ 教育訓練費上乗せ(10%)+ 子育て・女性活躍認定上乗せ(5%)= 最大45%の税額控除が可能になります。

5年間の繰越控除(中小企業のみ)

令和6年度税制改正により、中小企業に限り、賃上げを実施した事業年度において控除しきれなかった金額を翌期以降5年間にわたって繰り越し、その後の事業年度の法人税額から控除できる制度が新設されました。赤字決算等で課税所得が少なく、せっかくの賃上げ実績を当期だけでは活かしきれなかった企業にも、後年の黒字化局面で恩恵が及ぶ仕組みです。

ただし、繰越控除を受ける事業年度においても「雇用者給与等支給額が前事業年度を上回る」ことが要件となる点に注意が必要です。

給与等支給額の計算

賃上げ促進税制で用いる「雇用者給与等支給額」は、損金算入される国内雇用者に対する給与等の支給額を指します。役員および役員の特殊関係者に対する給与は除かれます。

適用にあたっての留意点

  • 控除税額は、調整前法人税額の20%が上限
  • 確定申告書(法人税申告書別表六(二十四)等)に必要事項を記載し、明細書を添付
  • 教育訓練費の上乗せを受けるには、教育訓練の実施内容・受講者・支払先等の明細を保存する必要あり
  • 賞与の支給時期や昇給のタイミングを工夫することで、要件達成のしやすさが変わる

まとめ

賃上げ促進税制は、賃金引上げの原資を税額控除でバックアップする強力な制度です。最大45%の控除率と5年間の繰越控除は、中小企業にとって極めて有利な内容です。一方で、要件判定や別表記載は複雑で、給与計算データと税務処理の連携が欠かせません。

当法人では、給与制度の設計、賃上げシミュレーション、教育訓練計画の整備、くるみん・えるぼし認定取得サポートまで、税制活用と人事戦略を一体でご支援いたします。お気軽にご相談ください。

AUTHOR / 執筆・監修

社会保険労務士法人みらい

東京都社会保険労務士会 武蔵野支部所属。西東京市ひばりが丘を拠点に、労働・社会保険手続き、就業規則作成、給与計算、助成金申請、労務コンサルティングをワンストップで提供。みらいグループ(税理士法人みらいを中核とする専門家集団)と連携し、中小企業の人事労務をトータルサポートしています。

本記事は2026-05-29時点の法令・通達・施行規則に基づき作成しています。最新情報は厚生労働省、日本年金機構、ハローワーク等の公表資料をご確認ください。

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