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賃金規程の作り方

賃金規程の位置づけ

賃金規程とは、基本給や諸手当、割増賃金、賞与、昇給など、従業員の賃金に関するルールを定めた規程です。就業規則の一部を構成するものであり、賃金に関する事項を就業規則本則から切り出して独立させたものが賃金規程にあたります。

労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成・届出を義務づけており、その中でも「賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」は絶対的必要記載事項(同条2号)とされています。つまり、賃金に関するルールは必ず規程に明記しなければなりません。

賃金に関する絶対的必要記載事項(労基法89条2号)

  • 賃金の決定・計算・支払の方法
  • 賃金の締切り及び支払の時期(締日・支払日)
  • 昇給に関する事項

賞与や退職金などの臨時の賃金等は「相対的必要記載事項」であり、制度を設ける場合には記載が必要となります。

基本給の決め方

基本給は賃金の中心であり、各種手当や割増賃金、賞与算定の基礎にもなる重要な要素です。賃金規程では、基本給をどのような要素で決定するのかを明確にします。

複数の要素を組み合わせるケースも多く、自社の人事評価制度と整合させることが大切です。基本給の決定基準が曖昧だと、昇給・降給の運用や賃金トラブルの原因になります。

諸手当の定め方

諸手当は、基本給を補完し、特定の事情や貢献に報いるために支給するものです。手当ごとに支給要件・金額・計算方法を明確に定めます。

手当を「割増賃金の計算基礎に含めるか否か」は、割増賃金の額に直接影響します。通勤手当・家族手当・住宅手当などは、一定の要件を満たせば割増賃金の基礎から除外できますが、要件を満たさない場合は基礎に含める必要があるため、支給基準の設計に注意が必要です。

割増賃金の計算基礎と割増率

時間外労働・休日労働・深夜労働に対しては、労働基準法第37条に基づき割増賃金を支払わなければなりません。賃金規程では、割増賃金の計算方法と割増率を明記します。

割増賃金の主な割増率

  • 時間外労働:25%以上(月60時間を超える部分は50%以上)
  • 深夜労働(22時〜翌5時):25%以上
  • 法定休日労働:35%以上

時間外労働が深夜に及ぶ場合は50%以上、法定休日労働が深夜に及ぶ場合は60%以上となります。なお、月60時間超の時間外労働に対する50%以上の割増は、中小企業にも適用されています。

賞与・昇給の規定

賞与を支給する場合は、支給対象者・算定期間・支給時期・算定方法などを定めます。「業績等により支給しないことがある」旨を明記しておくと、業績悪化時の運用の柔軟性が確保できます。

昇給については、時期・回数・昇給の判断要素(人事評価との連動など)を規定します。昇給は絶対的必要記載事項であるため、たとえ「昇給を行わないことがある」場合でも、その旨を規程に記載しておく必要があります。

締日・支払日と賃金控除

賃金の締切日と支払日は明確に定めます(例:月末締め・翌月25日払い)。支払いにあたっては、労働基準法第24条の賃金支払5原則(通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上払い・一定期日払い)を守らなければなりません。

このうち全額払いの原則との関係で、社会保険料・税金など法令に定めのあるもの以外を給与から控除するには、労使協定(賃金控除協定)が必要です。社宅費・組合費・親睦会費などを控除する場合は、あらかじめ協定を締結しておきます。

最低賃金との関係

賃金規程で定める賃金は、地域別最低賃金(および該当する場合は特定最低賃金)を下回ってはなりません。最低賃金は毎年改定されるため、改定時には自社の賃金水準が下回っていないかを確認し、必要に応じて賃金規程や実際の支給額を見直します。

賃金規程整備のポイント

  • 絶対的必要記載事項(決定・計算・支払方法、締日・支払日、昇給)を漏れなく記載する
  • 各手当が割増賃金の基礎に含まれるか否かを明確にする
  • 割増率・計算方法を法定基準以上で定める
  • 賃金控除は労使協定とセットで運用する
  • 最低賃金の改定に合わせて定期的に見直す

まとめ

賃金規程は、従業員の処遇の根拠となる重要な規程であり、記載内容の不備は割増賃金の未払いや賃金トラブルに直結します。法令で求められる記載事項を満たしつつ、自社の人事制度や実態に即した設計を行うことが、公正で分かりやすい賃金制度づくりの第一歩です。

当法人では、賃金規程の新規作成から既存規程の点検・見直し、割増賃金の計算基礎の設計、就業規則本則との整合確認まで対応いたします。賃金制度の整備をお考えの際は、お気軽にご相談ください。

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AUTHOR / 執筆・監修

社会保険労務士法人みらい

東京都社会保険労務士会 武蔵野支部所属。西東京市ひばりが丘を拠点に、労働・社会保険手続き、就業規則作成、給与計算、助成金申請、労務コンサルティングをワンストップで提供。みらいグループ(税理士法人みらいを中核とする専門家集団)と連携し、中小企業の人事労務をトータルサポートしています。

本記事は2026-07-28時点の法令・通達・施行規則に基づき作成しています。最新情報は厚生労働省、日本年金機構、ハローワーク等の公表資料をご確認ください。

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