雇用関係助成金とは
雇用関係助成金とは、厚生労働省(都道府県労働局・ハローワーク)が管轄する助成金で、従業員の雇入れ・雇用維持・処遇改善・能力開発など、雇用や労働環境の改善に取り組む事業主を支援するものです。
最大の特徴は、融資と違い原則として返済が不要である点です。要件を満たして正しく申請すれば受給でき、設備投資や人材育成、処遇改善の原資として活用できます。財源は事業主が負担する雇用保険料等であり、いわば「支払った保険料を取り戻す」制度ともいえます。
雇用関係助成金の主な分類
- 雇用の維持:雇用調整助成金 など
- 人材の確保・再就職支援:特定求職者雇用開発助成金 など
- 能力開発:人材開発支援助成金 など
- 処遇改善・正社員化:キャリアアップ助成金 など
- 仕事と家庭の両立支援:両立支援等助成金 など
- 生産性向上・労働環境改善:業務改善助成金 など
目的別に見る主要助成金
自社の課題に合った助成金を選ぶには、「何を実現したいか」から逆算するのが近道です。
- 従業員の雇用を維持したい:景気変動などで一時的に休業等を行う場合の雇用調整助成金
- 就職困難者を採用したい:高年齢者・障害者・母子家庭の母などの雇入れに対する特定求職者雇用開発助成金
- 従業員の能力を高めたい:計画的な訓練・研修に対する人材開発支援助成金
- 非正規雇用を正社員化・処遇改善したい:キャリアアップ助成金
- 育児・介護と仕事の両立を支援したい:両立支援等助成金
- 設備投資で生産性を上げつつ賃上げしたい:業務改善助成金
共通の受給要件
助成金の種類は多岐にわたりますが、多くの雇用関係助成金には共通する基本的な受給要件があります。個別の要件を確認する前に、まずこの土台を満たしているかを確認しましょう。
雇用関係助成金に共通する主な受給要件
- 雇用保険の適用事業所であること
- 労働保険料を適正に納付していること
- 労働関係法令を遵守していること(賃金・労働時間の管理など)
- 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿など、支給審査に必要な書類を整備・保管していること
- 過去に不正受給を行っていないこと
不正受給を行った場合は、助成金の返還に加え、一定期間の不支給や事業主名の公表などの厳しいペナルティが科されます。書類の整備と法令遵守は、助成金活用の大前提です。
助成金の探し方
まずは厚生労働省の「雇用関係助成金一覧」を確認するのが基本です。厚生労働省サイトでは、目的別に助成金が整理されており、各助成金のパンフレットや支給要領も公開されています。
- 厚生労働省の助成金一覧ページで目的別に探す
- 雇用関係助成金検索ツールを使い、自社の状況から候補を絞り込む
- 制度は年度ごとに新設・改廃されるため、必ず最新年度の情報を確認する
助成金は毎年度、要件や支給額が見直されます。前年に使えた制度が廃止・変更されていることもあるため、最新の公募内容をその都度確認することが重要です。
申請の流れ
多くの雇用関係助成金は、次のような流れで進みます。制度によっては事前の計画届が必須で、取組み前に計画を提出していないと対象外となるものがあるため、着手前の確認が欠かせません。
- 1. 計画の届出:取組み前に計画書等を労働局へ提出(必要な助成金の場合)
- 2. 取組みの実施:計画に沿って正社員化・訓練・設備投資などを実施
- 3. 支給申請:実施後、定められた期間内に支給申請書と添付書類を提出
- 4. 審査・支給:労働局の審査を経て助成金が支給される
社労士に依頼するメリット
助成金の申請は、要件の確認・書類の作成・期限管理など専門的で煩雑な作業を伴います。ここで押さえておきたいのが、事業主に代わって助成金の申請代行ができるのは、社会保険労務士だけだという点です。
厚生労働省が管轄する雇用関係助成金の申請代行は、社会保険労務士法に定める社労士の独占業務です。社労士以外の者が報酬を得て事業主に代わり申請手続きを行うことは法律で禁止されており、違反には罰則も定められています。「助成金コンサルタント」を名乗る無資格業者による代行はトラブルの原因となるため、依頼先は必ず確認しましょう。
社労士に助成金申請を依頼するメリット
- 自社に合う助成金を的確に選定してもらえる
- 複雑な要件確認・書類作成・期限管理を任せられる
- 就業規則や賃金制度の整備と一体で進められる
- 労働関係法令の遵守状況を踏まえた適正な申請ができる
まとめ
雇用関係助成金は、返済不要で人材確保・処遇改善・生産性向上の後押しとなる有力な制度です。一方で、種類が多く要件も複雑なうえ、取組み前の計画届が必要なものもあり、自社だけで最適な制度を選び・正しく申請するのは容易ではありません。
当法人では、貴社の状況に合った助成金の選定から、計画届・支給申請の作成・提出、就業規則や賃金制度の整備まで一貫してサポートいたします。「自社で使える助成金があるか知りたい」という段階からで構いません。まずはお気軽にご相談ください。