11月から1月は、年末調整・賞与・年次有給休暇の取得確認・来年度の準備が重なり、労務担当者にとって1年でもっとも負荷の高い時期です。この記事では、時期ごとにやることを整理しました。抜け漏れの確認にお使いください。
この時期の4つの山
- 年末調整:11月中に書類を回収し、12月または1月の給与で精算する
- 賞与:賞与支払届の提出(支払日から5日以内)
- 年次有給休暇:年5日の取得義務の達成状況を確認する
- 来年度の準備:36協定の更新、法改正への対応
11月にやること
- 年末調整の書類を回収する:扶養控除等申告書、保険料控除申告書、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書。11月中の回収完了を目標にします
- 中途入社者の前職源泉徴収票を確認する:回収漏れが起きやすい書類です
- 年次有給休暇の取得状況を確認する:年10日以上付与された労働者について、年5日取得できているかを基準日ごとに点検します。未達の人には時季指定を行います
- 冬季賞与の支給額を確定する:賞与規程の支給要件(支給日在籍要件など)を確認します
- 年末年始の休日を周知する:シフト制の場合は法定休日の確保を確認します
関連記事:年末調整の準備スケジュール/年次有給休暇の年5日取得義務化
12月にやること
- 賞与を支給し、賞与支払届を提出する:支払日から5日以内に年金事務所へ提出します。社会保険料の控除も忘れずに
- 年末調整を計算し、過不足を精算する:12月または1月の給与で調整します
- 繁忙期の労働時間を管理する:36協定の上限(月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間以内、単月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超えていないか、月の途中で確認します
- 健康診断の未受診者を確認する:年度内に実施が必要です
- 有給休暇の未消化者に時季指定を行う
12月は時間外労働が増える月です。年度の累計時間を確認せずに繁忙期に入ると、年720時間や複数月平均80時間の上限に抵触するおそれがあります。11月末時点で累計を出しておくことをおすすめします。
関連記事:36協定の締結・届出の実務/賞与の社会保険料計算
1月にやること
- 源泉徴収票を交付する:従業員へ交付します
- 法定調書合計表を提出する:税務署へ(1月31日まで)
- 給与支払報告書を提出する:従業員の1月1日時点の住所地の市区町村へ(1月31日まで)。退職者分も対象です
- 労働保険の年度更新に向けて賃金を集計し始める:申告は6月ですが、賃金データの整理は早いほうが楽です
- 年末調整の誤りがあれば再調整する:1月末までであれば会社で再調整できます
来年度に向けて確認すること
- 36協定の有効期間を確認する:有効期間は1年です。開始前に締結・届出を完了する必要があります。4月1日起算なら3月中に手続きします
- 過半数代表者の選出手続きを準備する:投票・挙手など民主的な方法で、選出目的を明らかにして行います。会社が指名した者は無効です
- 就業規則を点検する:法改正への対応漏れ、実態とのズレがないかを確認します。3年に一度は本格的な見直しをおすすめします
- 雇用契約書の様式を確認する:就業場所・業務の「変更の範囲」の記載があるかを点検します
- 年次有給休暇の基準日を整理する:入社日基準だと管理が煩雑になるため、基準日の統一を検討する時期でもあります
- 定年・再雇用を迎える従業員を把握する:高年齢雇用継続給付の支給率が変わっているため、再雇用時の条件を早めに検討します
関連記事:高年齢雇用継続給付とは/就業規則の届出方法
この時期に起きやすいトラブル
- 年末の退職と年末調整が重なる:12月中に退職した場合、年末調整は行わず、源泉徴収票を交付して本人が確定申告します。退職日によって扱いが変わるため確認が必要です
- 繁忙期の時間外労働が上限を超える:気づいたときには手遅れになりやすい項目です
- 有給の年5日が未達のまま年度末を迎える:違反は労働基準法120条の罰則対象(対象労働者1人につき30万円以下の罰金)です
- 賞与支払届の提出漏れ:支払日から5日以内です
- 年末年始の休日出勤に割増賃金が正しく付いていない:法定休日と所定休日で割増率が異なります
関連記事:代休と振替休日の違い/割増賃金の計算方法
よくある質問(FAQ)
12月に退職する従業員の年末調整はどうなりますか?
原則として、12月に支給する給与の支払時に在籍していれば年末調整の対象になります。中途退職で年末調整を行わない場合は、源泉徴収票を交付し、本人が確定申告することになります。退職日と最終給与の支給日の関係で判断が分かれるため、個別にご確認ください。
有給の年5日が達成できそうにありません。
会社が時季を指定して取得させることができます(労基法39条7項)。基準日から1年以内に5日に達していない労働者について、本人の意見を聴いたうえで時季を指定してください。年度末に慌てないよう、11月時点での点検が重要です。
36協定はいつまでに届け出ればよいですか?
有効期間の開始前に届出を完了している必要があります。届出をして初めて時間外労働が適法になるため、期間が始まってからでは間に合いません。4月1日起算であれば3月中に手続きしてください。
まとめ
年末から年始にかけては、期限のある手続きが集中し、1つ漏れると後戻りできない時期です。年5日の有給取得義務や36協定の上限は、年度末に気づいても取り返せません。当法人では、年末調整・賞与・社会保険の手続き代行から、36協定の更新、就業規則の点検までまとめてご支援しています。この時期の負担を減らしたい会社は、繁忙期に入る前にご相談ください。